▼脳梗塞は直後の治療が大切
市立病院済生館脳卒中センター 下川友侑
脳梗塞は脳の血管が詰まり、酸素や栄養が脳の神経細胞に行き届かず、脳が死んでしまう病気です。一度壊れた脳細胞は再生しないため、手足のまひや構音(こうおん)障害などの後遺症を残す場合や命に関わる場合があります。
脳梗塞は時間の経過と共に完成するため、完成する前に詰まった血管を早期に再開通させることができれば、後遺症が軽くなったり、後遺症なく治ったりする可能性があります。
脳梗塞発症早期の治療法には、血栓溶解療法と機械的血栓回収療法があります。血栓溶解療法とは、tpA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)という薬を点滴で投与し、血管に詰まった血栓を溶かす治療法で、症状出現から4時間半以内の場合に行うことができます。また、機械的血栓回収療法とは、足の付け根の血管からカテーテルという管を血管の詰まった部分まで挿入し、血栓を吸引するなどして血管を再開通させる治療法で、症状出現から24時間以内の場合に行うことができます。
ただし、いずれの治療法も、症状出現から治療までの時間が早ければ早いほどその後の経過が良くなる可能性が高く、遅ければ遅いほど脳内での出血など合併症が起こる可能性が高くなります。そのため、顔のゆがみ、手足の脱力、呂律(ろれつ)が回らないなど、脳梗塞と思われる症状が現れた場合は、様子をみることなく、すぐに一次脳卒中センターを受診してください。
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